1月号、2月号とお読みいただきまして、ありがとうございます。3月号が最終になります。今回は海外と国内の市場について、お話いたします。外国の市場については米国とイギリスに滞在した経験からお話しさせていただき、国内の市場については実際の販売活動からお話いたします。

米国とイギリスの市場

1.欧米人には紅茶・緑茶・ウーロン茶の垣根がない

「カメリアシネンシス」から作られる飲み物は称して茶と理解され、飲まれております。事実Great Taste Awardの審査においても、単一茶園リーフティーの部門では紅茶、緑茶、ウーロン茶が同一基準で審査されます。またヨーロッパや米国のホテルにおいてもアフターヌーンティーのメニューにお茶の品名として書かれ特徴が説明されています。どのお茶も同じポットとカップでサービスされ、抽出条件も同じように見受けられます。日本人が常識として持っているお茶の区別は無いようです。このことはマーケティングの重要なポイントになるでしょう。

2.米国やイギリスでは日本式深蒸し緑茶や抹茶がブームとなる

現在はヘルスベネフィット・健康のためにという趣旨で日本式蒸し緑茶と抹茶が流行しています。抹茶は、加工が手軽なことからアイスクリーム、チョコレートなどの菓子の材料として使われます。飲料の材料としても多くの飲み物がつくられています。珈琲で有名なスターバックスの抹茶ラテは今や人気商品です。また台湾、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ロンドンの都市では、新しい喫茶のスタイルが誕生しています。緑茶、紅茶、台湾茶をベースに果物や果汁そして生クリーム、ミルク、チョコレートをブレンドしたアレンジティーにお茶が進化して提供されています。気軽に立ち寄れるティールームやおしゃれにテイクアウトできるティースタンド。よりカジュアルにそして健康志向の強い店づくりがされ、これらは各国へフランチャイズされて広がって行きます。もちろん日本にも上陸し、東京に出店が目立っています。

昔のことですが、私が20代のころ米国フロリダ州で日本人会の祭りがあり、そこで“ヤキトリチキン”と“グリーンティー”の屋台をお手伝いしたことがあります。甘い醤油ソースのチキンはとても人気で連日売り切れ。ミルクやお砂糖をたっぷり入れた甘いグリーンティーも飛ぶように売れました。その時、私は心の中で「日本茶にお砂糖を入れないで!」と叫んだことを思い出します。実は緑茶の香りはあまり好まれないようで、Great Taste Awardの審査においても「やぶきた種」で作った紅茶は、ベジタブルフィシーと評価される生臭い香りがあり、これは敬遠されます。私はこれらの経験から欧米人が緑茶を着香して商品を作ることや、ミルクや砂糖を入れる行為は容易に理解できます。

日本茶がかつての日本の寿司のように世界へ広がる気配を感じます。日本から米国に寿司が伝わりカリフォルニアロールが生まれ、私たちには想像し難い形の寿司が世界へ広がっていきました。米国やイギリスで食べる寿司は日本の寿司とは別ものですが、美味しい食べ物です。寿司と同じように日本式蒸し緑茶が若者に好まれる商品に進して世界へ広がり、お茶の消費量が増えることは望ましいことです。

  3.欧米市場に日本の紅茶を売り込む戦略

 先にも述べたように欧米では紅茶、緑茶、ウーロン茶に垣根がなくお茶としてとらえられているので、日本の煎茶、玉露、ほうじ茶などを輸出されている会社は取引先に品質の良い日本の紅茶を適正価格で紹介すればすんなりと納品できるのではないでしょうか。日本の紅茶は知名度がないので単独では品質や価格に信用がありません。販路を求めても不可能に近い状況です。ですが幸運にも海外市場において、現在はかつてない日本茶ブームです。このチャンスをどうにかものにしていただきたいと思います。事実輸出で成功している茶商さんは大きな利益を得ていると思います。伊藤園のように海外で成功しているメーカもあります。(外国の伊藤園の商品がすべて日本産のお茶を使うかは別な話ですが。)先ずは今ある日本茶のビックチャンスを世界から掴み取り、そしてその販路を利用して紅茶を販売するのが賢い方法と考えます。日本の紅茶は日本茶が輸出で成功すれば必ず売れます。

 

 

 

国内の市場

 月刊「茶」2016年3月号に日本茶業学会 会長武田義行様が「できないものはできない」と題して書かれてた記事に私は衝撃を受けました。(興味のある方は是非お読みください)この先平成61年頃には一世帯当たりの緑茶購入量が年間300g前後になると予測している話が出てきました。読んだ直後から販売戦略を立て直す必要を感じ、考えあぐみました。しばらくして、弊社の強みが二つあると気が付くことになります。まず弊社のターゲットがニッチな市場であること、次に顧客を地産地消を大切にしている伊豆・箱根と東京のホテル・旅館、レストランに絞っており観光業に深くかかわっていることでした。

1.ニッチマーケティングの特性

 ニッチマーケットをターゲットとしております静岡紅茶株式会社の「クラフト紅茶」は市場規模はもともと小さく影響を受けずらい、ニッチマーケットは通常の製品より上位の品質や希少性などの価値を持つ商品に対してプレミアム価格を容認する特性を持っており、これを生かす取り組みをしていること。

観光立国推進基本法による観光業の発展とともに紅茶の消費を増やす

観光立国推進基本法(平成18年法律第117号)の規定に基づき、観光立国の実現に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、平成29年度からの新たな「観光立国推進基本計画」が閣議決定されました。

本計画は、2030年までの目標を以下のように掲げています。

増え続ける外国人観光客に、茶の原産国日本で味わう新鮮香漂う美味しい紅茶を飲んでいただく取り組みを行っております。一部ですが、ご紹介いたします。お役に立てれば幸いでございます。この度は、ご精読ありがとうございました。