緑茶は引き算紅茶は足し算

 緑茶は最初の殺青(さっせい)処理で酵素が不活性化されるため、それ以後ほとんど成分に変化はありません。しかも最初の殺青処理では生葉に含まれる青臭(草のような匂い)の元である青葉アルコールや硫化水素が揮散するため、香気成分としては少なくなります。また、上級茶では湯を冷まし、カフェイン、カテキンによる苦渋味を抑え、アミノ酸によるうま味をより引き出します。緑茶は余分なものを削ぎ落とし、さらに研ぎ澄まし、茶葉自身の持つうま味、苦味、渋味を引き出し、その調和を味わうものと言えるでしょう。
一方、紅茶は発酵の過程で茶葉中の酵素の働きにより、元の茶葉にはない様々な物質が生成されます。紅茶のあの鮮やかな赤褐色の水色もこの段階でカテキン類が酸化重合し、テアフラビンやテアルビジンという物質に変わったものです。また香気成分の多くもこの段階で生成され、上質なものには花や果物を思わせる優雅な香りと深い味わいが生まれます。元の茶葉からは想像もつかないその香味が、心をも満たしてくれることでしょう。
すなわち、それぞれの製法、香味を比較すると、緑茶は引き算によるもの、紅茶は足し算によるものと言うことができるでしょう。

各種茶の製造法

緑茶(煎茶)  じょうねつ   そじゅう   じゅうねん   ちゅうじゅう   せいじゅう   かんそう
 蒸熱(殺青) 粗揉 揉捻 中揉 精揉 乾燥

ウーロン茶  にっかんいちょう   しつないいちょう   かまいり   じゅうねん   たまとき   かんそう
 日干萎凋 室内萎凋 釜炒り 揉捻 玉解き 乾燥
紅    茶
(オーソドックス製法)
 いちょう   じゅうねん   たまとき   ふるいわけ   はっこう   かんそう  
 萎凋 揉捻 玉解き 篩分け 発酵 乾燥


紅茶製造法

萎凋
摘採した生葉をしおらせ柔らかくし、次の工程の揉捻で茶葉がよくよれるようにするための工程。また茶葉は呼吸しており、多くの化学変化が始まっている。

揉捻
茶葉の細胞膜を揉みほぐし細胞組織を破壊して細胞内の可溶性成分を溶け出しやすくし、またカテキン、酸化酵素を酸素に触れさせ発酵を促進させるための工程。

玉解き、篩分け
揉捻された茶葉は揉まれて塊になっているので、その塊を解きほぐし、篩で大小に区分け、粒度の大きい部分を再度揉捻し発酵を促進する工程で、通常セットになっている。

発酵
茶葉中のカテキンの酸化重合が進み、テアフラビンやテアルビジンなどの色素が生じると供に、香気成分が著しく増加する。この工程があることで紅茶と認定される。

乾燥
茶葉の発酵を止め、乾燥させ長く貯蔵できるようにする工程。紅茶らしい水色、香味が固定される。この工程を終えた紅茶を荒茶という。

再製、仕上げ
荒茶を精製して余分なものを除き、形を整える工程。この工程を経て、仕上げ茶となり、商品としての価値が生まれる。